FAA(Federal Aviation Administration、アメリカ連邦航空局)は2025年11月5日(水)、アメリカの主要40空港に離発着する国内線航空便を10%削減すると発表しました。現地時間11月7日(金)から削減をはじめ、削減率を順次引き上げ、来週には削減率を10%にします。FAAのブライアン・ベッドフォード(Bryan Bedford)長官が記者会見で明らかにしました。
アメリカ政府の予算失効で管制業務に支障
アメリカでは、トランプ政権の政府予算案が上院で9月末までに成立せず、つなぎ予算案も否決されたことで政府の予算が失効し、10月1日に一部の政府機関が活動を停止し、閉鎖しました。活動停止期間は日本時間11月5日午後2時時点で36日間となり、これまで最長期間だったトランプ一次政権時、2018年の35日間を超えました。トランプ政権と野党・民主党の間で折り合いがつく様子がなく、活動停止はさらに長引くとみられています。
FAAの空港管制業務も活動停止の対象ですが、航空便運航の安全確保の観点から管制官は無給で勤務を続けています。ただ、活動停止が2カ月目に入り、管制官が無給で働くことにも無理が生じており、勤務のローテーションに必要な人数を確保できず、航空便に遅延が生じるケースが増えているということです。FAAのブラッドフォード長官は、安全性を維持するために航空便の減便を決断したとしています。
今週4日(金)から段階的に減便
現地の報道によると、離発着便の削減は現地時間7日(金)朝にはじまり、その日は4%減、8日(土)は5%減、9日(日)は6%減と段階的に削減率を引き上げてゆき、来週には10%減とする方向でアメリカの航空会社と調整しているということです。
対象となる40空港のリストは7日に発表される予定ですが、減便の中心は国内線で、それも主要空港と地方空港を結ぶ路線ということで、現在のところ、国際線は対象から除外されています。
日本の航空会社が乗り入れる主要空港も減便の対象 ー 当面は国内線のみだが、今後国際線に広がる可能性も
一部報道が伝えた減便対象の空港には、日本の航空会社が乗り入れ、日本からの利用者が多いホノルル国際空港、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港、ロサンゼルス国際空港、サンフランシスコ国際空港、ダラス/フォートワース国際空港、シカゴ・ミッドウェー国際空港などが含まれています。
FAAはアメリカの航空会社と減便調整を進めた上で今回の措置を決めたとしています。政府機関の活動停止が長期化した場合、アメリカ以外の航空会社とも調整が行われ、国際線が減便の対象に含まれる可能性も指摘されています。日本からの渡航者も動向に注意する必要がありそうです。
FAAはウェブサイトにニュースルーム、プレスリリース、声明文などのコーナーを設けています。現在のところ、今回の減便に関する内容は更新されていませんが、先月10月7日にウェブサイトのニュースルームで「資金が不足する期間は、FAAとの連絡は制限される」と発表しています。FAAに直接、連絡があっても対応しきれないということで、代わりに空港の離発着状況や、事故が遭った場合にその状況を知らせる情報ページを案内しています。
今回はFAA長官が記者会見で発言した内容で、アメリカ報道各社の記事などで確認するしかないのですが、長官による発言であり減便に至る確率は高く、10月7日発表内容の延長線上にあると考えてよさそうです。実際に減便が始まれば、これらのウェブページで公表されるかもしれません。アメリカ到着後に国内便に乗り換えて移動する方もいらっしゃると思います。今後のFAAの発表や利用する航空会社の案内に気を付けておいたほうがよいかもしれません。
FAAのウェブサイト → https://www.faa.gov/
(2025年11月7日)