2月下旬から始まったアメリカとイスラエルによるイラン攻撃とそれに対するイランの反撃によって中東の情勢が悪化しています。世界最高峰の自動車レースである F1 は4月10日から12日に開催予定だった第4戦バーレーンGPと、4月17日から19日に予定されていた第5戦サウジアラビアGPをキャンセルすると発表しました。
関係者の安全を確保できず、車体、関連機材が損傷しない保証がないことが理由か
観客やF1ドライバーなどのチーム関係者、大会関係者や報道関係者などの安全を最優先したためとみられます。
現在、中東を発着する航空便が大幅に欠航するなど運航スケジュールが混乱しています。F1を開催するためには緻密なスケジュールでF1マシーンや関連機材を運搬しなければならないのですが、定期便だけでも安定的な運航が見込めないなかで、チャーター便などによるF1のロジスティックスは現実的な問題としてほぼ不可能でしょう。
また、戦時下にある地域での開催となると、運搬した車体やチームの機材、開催のための機材、放送のための機材などが、到着してから次の開催地に送り出すまでに損傷・破壊される可能性が高く、それもまとまった数の機材などが失われることになれば、次の開催ができるかという懸念もあります。
それらのことから、中東の2つのGPキャンセルは妥当な判断だと思われます。
代替レースはなく、約1か月のインターバル ― チームは新レギュレーションに伴うマシーン調整に時間を充てられるか
また、代わりのレースが設定されないことも発表されました。3月27日から29日に鈴鹿サーキットで開催される第3戦日本GPの次のレースは、5月1日から3日にアメリカで開催される第6戦マイアミGPです。
今年は大幅なレギュレーション変更があり、すべてのチームでマシーンを作り直しています。そのなかで、現在のところ、第1戦の決勝、第2戦のスプリントと決勝でトップに立っているメルセデスと、そのメルセデスとコース上でお互いにオーバーテイクを繰り返しているフェラーリは、マシーン開発・製作に成功しているチームといえるでしょう。
しかし、それ以外のマクラーレンやレッドブルなどのチームの開発状況は全般的に遅れていると思われ、中にはマシーントラブルで出走できないチームもあります。
中東で予定されていたF1開催がキャンセルされたことで、第3戦日本GPと第6戦マイアミGPの間に約1か月のインターバルができました。その間にマシーンの調整を進めることができるというチーム側の事情も今回の判断に至った理由の一つとみられます。
チャンピオンシップはキャンセルした2つを除く22戦の成績で決定
なお、2026年のF1シーズンは全24戦が予定されていましたが、この2つのGPを除いた22戦の成績でチャンピオンが決まることになりました。
2020年に世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、特に入境制限が厳しい日本を含むアジアでF1開催キャンセルが相次ぎました。2021年にはそれらを補うために、中東でバイクレースのMotoGPなどが開催されていたサーキットをスケジュールに組み込むようになりましたが、今回は中東の不安定な情勢によってこれらの地域での開催も危ぶまれる事態になっています。

(2026年3月14日)