タイガーエア台湾 熊本空港に12月就航 ー  台南・高雄の2路線を新設

 台湾の大手航空会社であるチャイナ・エアライン系列のLCC(格安航空会社)、タイガーエア台湾は2025年10月22日、熊本空港(現在の愛称は「阿蘇くまモン空港」)を発着する新路線を2025年12月に開設すると発表しました。
 新たに運航するのは次の2路線です。

 ・熊本―台南線(台南空港)
 ・熊本―高雄線(高雄国際空港)

 いずれも2025年12月23日(火)に運航を開始します。
 タイガーエア台湾による台南空港を発着する国際線は、これが初めてとなります。

 さらに、タイガーエア台湾は12月25日(木)に那覇―台南線も始める予定で、日本と台湾南部を結ぶネットワークが拡大されます。

熊本空港 タイガーエア台湾にとって日本で23番目の就航空港 ー 台南線、高雄線から始めるのは初の試み

 タイガーエア台湾は、2015年に東京・成田国際空港―台北・桃園国際空港線から日本と台湾を結ぶ運航を始めました。熊本空港は、タイガーエア台湾にとって日本で23番目の就航空港となります。
 これまで初めての就航空港には、まず台北(桃園)線を開設し、高雄線、台中線(台中国際空港)へと路線を拡げてきましたが、今回の熊本就航は初の試みとして台南線と高雄線から始めました。

JASM熊本工場と台湾南部のTSMC製造拠点との間のビジネス需要が背景か

 熊本空港の北およそ7キロメートルには「JASM熊本工場」があります。半導体受託製造で世界トップである台湾TSMCが日本に設立した製造拠点です。
 一方、台南や高雄にはTSMCの主要製造拠点や関連企業が集積しています。双方を行き来するビジネス需要が一定程度あるものと見られており、今回の新路線はそういった需要を捉えられると見込んでのスタートと考えられます。

 TSMCは、台湾桃園国際空港の近くにある新竹(Hsinchu、シンチュー)サイエンスパークに本社機能やグローバルR&Dセンター、その他の製造拠点を設立しています。ただ、熊本―台北(桃園)線はすでにチャイナ・エアラインとスターラックスが運航しています。タイガーエアは他社の既存路線との競合を避け、台湾南部の隙間需要を狙って今回の路線を新設したものと思われます。

 スターラックスは熊本―台北(桃園)線を毎日1往復、チャイナ・エアラインは同路線を週5往復運航しています。今回、タイガーエアは熊本―高雄線と熊本―台南線の両路線をそれぞれ火曜日と金曜日の週2往復4便、2路線を合わせて週4往復8便を運航する予定です。実際のビジネス需要を見極めながら今後必要に応じて増便する可能性があります。

路線再編と拡張:地方空港への展開

 タイガーエア台湾は今年に入ってから、次のように新規路線の展開を進めています。

  2025年1月:札幌(新千歳)―高雄線 開設
  2025年4月:大分―台北(桃園)線 就航
  2025年5月:米子―台北(桃園)線 就航

 一方で、2025年10月26日から茨城―台北(桃園)線を運休しており、運航ネットワークの再編も進めています。
 観光需要とビジネス需要の双方を背景に、より効率的な路線網の構築を目指していることがうかがえます。

今後の展望

 2025年冬ダイヤ(2025年10月~2026年3月)によると、2026年2月4日から石垣―台北(桃園)線の就航も予定されています。計画通りに路線が開かれると、石垣空港はタイガーエアにとって日本で24番目の就航空港となります。
 日本の南西諸島や九州エリアと台湾南部を結ぶ新路線の開設が続いているのは、TSMCを中心としたビジネス需要だけでなく、台湾から日本への観光需要の高まりも背景にありそうです。

(2025年10月31日作成、11月1日一部追加)