東京で生活していると、関西の中での移動距離感(時間)がなかなか把握しづらいものです。
私は東京から新幹線で関西方面へ向かう時、進行方向左の窓側、E席に座ります。富士山を見たいからなのですが、名古屋駅を出発し、関ヶ原を通過すると、次に目印として探すのが「長浜ドーム」です。地図アプリを見ると「県民共済ドーム長浜」となっているそのドームは、黒っぽいお椀を逆さまに置いたような形で探しやすいのです。ドームが見つかると、新幹線は琵琶湖のそばを走り、数分後には米原駅を通過します。
京都まではあと15分です。
なので、滋賀県は京都に近いのだろうと、勝手に思い込んでいました。
宮島未奈さんの『成瀬は信じた道をいく』(成瀬シリーズの第二弾)の中にはこんなストーリーがありました。
大津市膳所(ぜぜ)に住んでいる主人公の成瀬あかりは、京都大学を受験します。父親はパソコンに娘が賃貸を検索している形跡を発見し、家を出て一人暮らしを始めるのではないかとヤキモキするのです。ただ、成瀬は広島から出てくる友だちの下宿を探していただけで、自分は実家から通うと決めています。そのことがわかったお父さんはホッとするという姿が描かれています。膳所と京都大学の距離は、通学できないほどではないようです。
地図アプリや時刻表アプリで調べてみると、膳所駅から京都大学キャンパスへの移動時間は片道1時間程度でした。
平日、午前8時半までに京都大学に到着するルートで検索しました。
<京阪線→京都市営地下鉄>
京阪石川坂本線・京阪膳所駅→びわ湖浜大津駅(京阪京津線へ乗り換え)→京都市営地下鉄東西線・東山駅(市営バスへ乗り換え) 市バス・東山三条バス停→百万遍バス停
約59分(710円)
<JR線→京都市営地下鉄、山科駅乗り換え>
JR東海道線・膳所駅→山科駅(京都市営地下鉄東西線へ乗り換え)→東山駅(市バスへ乗り換え) 市バス・東山三条バス停→百万遍バス停
約46分(690円)
<JR線→京都市営地下鉄、京都駅乗り換え>
JR東海道線・膳所駅→京都駅(京都市営地下鉄へ乗り換え)→今出川駅(市バスへ乗り換え)市バス・烏丸今出川バス停→京大農学部前バス停
約46分(730円)
※地下鉄からバスに乗り換える場合、東山駅→東山三条バス停乗り換えのほか、時間によって京都市役所前駅→河原町三条バス停乗り換えなどもあります。
坂口志文さんは滋賀県長浜市出身です。新幹線から見えた長浜ドームは坂口さんの出身高校に近いようです。実家も市内なので、京都大学にはこの辺りの駅からスタートしたのではないかと思われます。
出発地点を長浜駅とし、先ほどと同じように平日、午前8時半までに京都大学医学部に到着するルートを検索しました。
<JR線→京都市営地下鉄、京都駅乗り換え>
JR北陸本線・長浜駅→京都駅(京都市営地下鉄へ乗り換え)→丸太町駅(市バスへ乗り換え) 市バス・烏丸丸太町バス停→熊野神社前バス停
約1時間49分(1830円)
<JR線→京都市営地下鉄、山科駅乗り換え>
JR北陸本線・長浜駅→山科駅(京都市営地下鉄へ乗り換え)→東山駅(市営バスへ乗り換え) 市バス・東山三条バス停→近衛通バス停
約1時間41分(1660円)
10時~12時ごろに京都大学に到着する時間であれば新幹線利用も考えられます。
<JR線→東海道新幹線→京都市営地下鉄>
JR北陸本線・長浜駅→米原駅(東海道新幹線へ乗り換え)→京都駅(京都市営地下鉄へ乗り換え)→今出川駅(市バスへ乗り換え) 市バス・烏丸今出川バス停→近衛通バス停
約1時間31分(4120円)
※京都市営地下鉄から市営バスへの乗り換えは時間によって、丸太町駅→烏丸丸太町バス停、今出川駅→烏丸今出川バス停などが考えられます。
通学時間に片道2時間近くかかります。新幹線を使えば時間が短縮されますが、米原駅に停車するひかり号やこだま号は1時間に数本しかなく待ち時間がロスになります。また、料金が高くなりますので、学生としては大変だと思われます。そもそも、坂口さんが学生時代の頃は、まだ新幹線通勤・通学が今ほど世の中に浸透しているとは考えられませんし、料金が高いので学生が使うのは難しいかもしれません。
今後、坂口さんの学生時代の思い出・エピソードなどが紹介されることがあれば、この点にも注目して読んでみたいと思います。
(2025年10月12日)
注:移動時間、ルートなどは、投稿日時点のものです。鉄道・バスなどの時刻変更、運航状況の変化、検索条件などによっては変わってきます。一つの事例としてご覧ください。