JR東日本 来年2026年3月に運賃改定 「山手線内」、東京近郊の「電車特定区間」の割引が終了―通常の幹線運賃に統一

 JR東日本は来年2026年3月14日(土)に運賃を改定します。東京や近くに住んでいる人たち、東京近郊へ仕事や旅行などでやってくる人たちにとって影響が出てくるのが、現在の「山手線内」運賃と東京近郊の「電車特定区間」運賃の割引が終了し、JR東日本管内の幹線運賃に統一されることです。私鉄と競合する東京地区の「特定区間」の制度は残りますが、その一部区間は除外され通常運賃になります。これらの区間をよく使う人たちにとっては負担が増えると感じるかもしれません。

山手線内は大幅値上げも……

 JR東日本は今回の運賃改定を案内するウェブサイトで改定前後の運賃を検索できるページを用意しています。トップページ(https://www.jreast.co.jp/)にある検索枠で「運賃改定」などを入力するとそのページが案内されます。

 羽田空港と都心を結ぶ東京モノレール乗換駅の浜松町駅から山手線で渋谷駅まで移動した場合の運賃はSuicaやPASMOなど交通系ICカードで支払う場合、現在は208円です。それが上記のウェブサイトで調べたところ、改定後の運賃は252円でした。値上がり幅は44円、値上がり率は21.1%にもなります。

「山手線内」と「電車特定区間」は終了→幹線運賃に統一

 大幅値上げになるのは、山手線やその内側の中央線の駅の間を移動する場合に適用される割安な「山手線内」運賃が終了し「幹線」運賃が適用されるためです。山手線内よりも範囲が広い東京近郊の「電車特定区間」に適用される運賃も同じように今回の改定を機に廃止されます。こちらも幹線運賃に統一されますが、山手線内よりも割引率が低く設定されていますので、値上がり感は山手線内ほどではないと思います。

 京浜東北線の蒲田駅は、浜松町駅からの営業キロが11.3キロメートルと、浜松町駅から渋谷駅の10.9キロメートルとほぼ同じ距離で、どちらも「11~15kmの運賃」が適用されます。

 ただ、蒲田駅は山手線内の範囲外で、東京近郊の「電車特定区間」の駅になります。浜松町駅は山手線の駅でもありますが、この場合、浜松町―蒲田は電車特定区間の運賃となります。

 鉄道系ICカードで支払う場合、現在の230円から改定後は253円となります。値上げ幅は23円で値上げ率は10%です。改定後の運賃は浜松町―渋谷と同じですが、現在の運賃の割引率が低いため、値上げも抑えられると感じます。

 幹線区間の「11~15kmの運賃」は現在242円です。運賃改定により253円に値上げされ、値上げ幅は11円です。ですので電車特定区間の値上げ幅23円のうち運賃改定分を差し引いた12円が電車特定区間終了による運賃上昇分ということになります。同じように山手線内の場合、値上げ幅44円のうち33円が山手線内の割安運賃が終了することによる上昇分となります。

湘南地区 藤沢、鎌倉の運賃格差は解消

 東海道線で東京からの営業キロが50キロメートルを超える最初の駅は藤沢です。その東京―藤沢の運賃が今回の改定で、とうとう1000円を超えることになりました。現在の990円から1034円に値上がりします。

 湘南地区についてはもう一つ、藤沢と鎌倉の運賃格差が解消されます。東京の通勤圏でもある藤沢と鎌倉は、東京からそれぞれ51.1キロメートル、51.0キロメートルとほぼ同じです。しかし、東京―鎌倉は945円と東京―藤沢よりも割安に設定されています。藤沢市は神奈川県内で横浜市、川崎市、相模原市に並んで人口規模の多い地域であることから、この運賃差に疑問を持つ利用者がいるとも聞きます。乗客が多い区間のはずなのに、なぜ高いのかという疑問です。乗客数については、JR東日本のウェブサイトを探してみるとデータがありました。2024年の1日平均乗車人数トップ100では、藤沢駅は10万3067人で30位でした。対する鎌倉駅は4万1247人でランク外です。藤沢駅は鎌倉駅の約2.5倍の乗車客に利用されていました。

 東海道線と横須賀線は東京方面から途中のルートこそ違いますが、どちらも横浜駅、戸塚駅、大船駅に停車し、ほぼ並行しています。そして大船駅で藤沢方面の東海道線、鎌倉方面の横須賀線に分かれます。その先の東海道線が幹線区間なのに対して、横須賀線は終点の久里浜駅まで「電車特定区間」として続いているため、藤沢と鎌倉の間に運賃格差が生じていたわけです。

 それが、今回の運賃改定で「電車特定区間」が廃止され、鎌倉駅にも幹線区間の運賃が適用されることになります。改定後は東京―鎌倉、東京―藤沢ともに1034円で同じ金額となり運賃格差が解消されます。

 通勤・通学に利用する定期券の乗客も多いと考えられます。同じ利用期間であっても2026年3月14日以降に購入する定期券は改定後の料金が適用されますので、可能であれば改定前に購入しておく方が有利といえるでしょう。

私鉄と競合する「特定区間」の制度は残るものの、一部区間は廃止に

 私鉄と競合する区間は東京地区の「特定区間」として他の区間より割安に設定されています。この制度は残りますが、一部の区間が特定区間から除外されて幹線区間になり、大幅に値上がりします。

 東急東横線と競合している渋谷―横浜は特定区間が維持されますが、横浜から先、桜木町までを含む渋谷―桜木町は特定区間から除外され、幹線に変更されます。

 かつて東急東横線は桜木町まで運行しており、JRと競合していましたが、みなとみらい線が開通した2004年2月以降、東急東横線はみなとみらい線に乗り入れ、東急の横浜から桜木町までの路線は廃止されました。

 それでも、横浜みなとみらい地区への玄関口として、JRの桜木町駅と東急線・みなとみらい線のみなとみらい駅が並存する形となり、JRの渋谷―桜木町は特定区間として維持されてきました。今回、特定区間から除外されることで、渋谷―桜木町の運賃483円は改定後に616円と大幅に値上がりします。値上げ幅は133円、率にすると約28%。3割近くの運賃上昇です。

 現在のところ、東急線、みなとみらい線の運賃改定の情報はありませんので、現在の運賃が続くものとして比較します。東急線渋谷―横浜が309円、みなとみらい線横浜―みなとみらいが193円ですので、合計502円です。現在はJR運賃483円より割高ですが、直通運転しており乗り換える必要がないという利便性があります。今回の運賃改定でJRは616円に値上がりし、東急・みなとみらい利用は運賃面でも有利になります。

横浜駅で一旦、下車する場合は……

 おもしろいのは、JRを使い一旦横浜駅で下車するケースです。横浜駅は東口にそごう横浜店、西口に横浜高島屋やジョイナス、NEWoMan横浜があります。みなとみらい地区への途中で降りても、買い物などの用事を済ますことができる便利な場所です。

 その場合、渋谷―横浜は改定後が440円、横浜―桜木町は155円で、合計595円です。途中下車せずに向かった場合の616円よりも21円安くなるのです。

 渋谷―横浜を東急線、横浜で一旦降りて、横浜―桜木町をJRに乗った場合、改定後の合計は464円で、東急線・みなとみらい線利用よりもさらに安くなります。

 運賃の組み合わせにはさまざまなパターンがあり、複雑です。実際に横浜駅を利用する場合は、運賃の高い・安いだけでなく、駅の間を移動しなければならない大変さも考慮されると思います。
 JR横浜駅は地上にホームがあり、地下1階の中央通路へつながる改札口には階段かエスカレーターを1つ使えば到達できます。一方、東急・みなとみらい線の横浜駅はホームが地下5階にあり、中央通路からホームに向かうにはエスカレーターを少なくとも3基乗り継ぐ必要があります。JR線と東急・みなとみらい線との間を合計運賃の節約のためだけに乗り換えるとしたら負担に感じる利用者も少なくないと思います。

その他の私鉄と競合する特定区間は……

 渋谷―横浜の他にも比較的知られているJRと私鉄の競合区間があります。京急線と並行する品川―横浜、京王井の頭線と並行する渋谷―吉祥寺などです。

 品川―横浜のJR運賃は現在の303円から341円と38円値上がりします。京急線はこの区間の運賃が313円ですので、現在はJRが割安なのが、改定後は割高に逆転します。

 渋谷―吉祥寺のJR運賃は230円から281円と51円の値上がりです。現在、京王線の運賃は230円でJRと同じですが、改定後はJRが割高になります。

(2025年12月7日公開、12月11日更新)