上野公園にある東京都美術館。
企画展示室では2025年12月21日まで、オランダの首都、アムステルダムにあるファン・ゴッホ・ミュージアムが所蔵する作品を中心に構成された「ゴッホ展ー家族がつないだ画家の夢」が開催され、多くの人が行列を作って入場を待っていました。
ゴッホ展の入口の隣には、美術館内ギャラリーへの入口があり、そちらでは刺繍をテーマにした2つの展覧会が同時開催されていました。
一つは「刺繍―針がすくいだす世界」。
5人の刺繍作家による共同展覧会です。印象派絵画のように縫い上げられた作品は壁に掛けられ、ぬいぐるみに施された刺繍作品はテーブルの上に配置されていました。さらに、立体的に仕上げられた大きな作品は天井から吊り下げられていました。
もう一つの刺繍に関する展覧会が「刺繍がうまれるとき」。
東京都の美術館によるコレクションを中心に、日本近現代における刺繍表現をたどる展覧会です。
その中で、特に印象に残ったのが次の作品でした。


世界地図が浮かび上がるように仕掛けられた作品です。
この作品にはスポットライトがあてられ、ごく普通の世界地図に見えますが、一定時間が経つと明かりが消され、国境線や国の名前などが浮かび上がります。
刺繍作家の青山悟さんが制作した《Map of The World》(2014年)です。
ダークライトで文字が浮かび上がる仕掛けというのは印刷物で作られると思っていましたが、この作品はポリエステルの布地にポリエステル糸と畜光糸を組み合わせて制作された作品でした。
青山悟さんはロンドンにあるゴールドスミスカレッジのテキスタイル学科出身で、シカゴ美術館附属美術大学で美術学修士号を取得した方で、1920年代の工業ミシンを使って刺繍作品を作り上げる手法を取っているということです。
この作品は、素材以外の情報について説明は掲げられていませんでしたが、展覧会場の中で惹かれる作品の一つでした。
(2025年12月19日)