国立西洋美術館 ー 常設展の展示作品が一部入れ替わりました

 上野公園には博物館、美術館などの文化施設がいくつか建てられており、そのなかでも国立西洋美術館はJR上野駅公園口改札から歩いて1分のすぐ近くにあります。

 国立西洋美術館では2025年10月初めに展示作品が一部入れ替えられ、10月9日(木)に常設展が再開しました。

 新館2階、吹き抜けの先にある展示室では、壁一面にルノワール、マネ、ドガの定番作品が並んでいました。

  左から、ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子の女》(1891年)

  エドゥアール・マネ《ブラン氏の肖像》(1879年頃)

  ルノワール《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》(1872年)

  そして、エドガー・ドガ《舞台袖の3人の踊り子》(1880-85年頃)

 以前は分散して展示されていた巨匠たちの作品が、前回の作品入れ替えでこの部屋に集められました。今回の入れ替えでも、この配置が続いていました。

 次の部屋は主にクロード・モネの作品が展示されている印象派の部屋です。

 しかし、美術館の所蔵作品の中でも最も重要な一つであるモネの《睡蓮》(1916年)は定位置にはなく、代わりにモネの《舟遊び》(1887年)が展示されていました。右隣りにある《睡蓮》は 1897-1899年頃に描かれたもので、寄託作品です。前回の入れ替えの際に初めて展示されるました。モネの睡蓮のなかでは早い時期に描かれ、池に浮かぶ睡蓮の花と葉そのものに焦点があてられています。モネは描き続けるほど、水面に反射する空や池の向こう側の風景、池に垂れ下がる柳などを取り入れるようになり、その一つが今回、取り外された《睡蓮》です。

 美術館の方に聞いてみたところ、次の企画展のために取り外し、別の場所に保管してあるということでした。国立西洋美術館では今月10月25日(土)から来年2026年2月15日(日)まで、企画展「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」が開催される予定です。そちらで数々の有名作品に並んで、参考作品として展示されるかもしれません。

 新館1階の絵画展示室にあったのは、グスタフ・クリムトの《アッター湖の島》(1901-1902年頃)です。個人や団体が所蔵する作品を国立西洋美術館が預かり、管理する寄託作品で、今回の常設展で初めて展示されました。

 このほかにも初展示作品が3点あります。

本館展示室2階
 クリストフ・アムベルガー《バルバラ・シュヴァルツの肖像》(1542年)

 ルカ・ジョルダーノ《マギの礼拝》(1687-89年頃)

  ※この2点は国立西洋美術館が今年(2025年)購入したものです。

新館展示室1階
 アルベルト・ジャコメッティ《カロリーヌ》(1962年)

  ※この作品は寄託作品です。

 美術館では企画展にたくさんの人が集まりますが、国立西洋美術館では常設展にも巨匠の作品が揃っていて、これらを鑑賞するのもおもしろいものです。

 10月5日まで新館2階の版画素描展示室で開催されていた「ピカソの人物画」の作品のうち2点は、新館1階の常設展最後の部屋に場所を移して展示されていました。

 パブロ・ピカソ《小さな丸帽子を被って座る女性》(1942年)

 パブロ・ピカソ《男と女》(1969年)

 なお、国立西洋美術館は2025年10月23日(木)、24日(金)に臨時休館します。10月25日(土)に始まる次回企画展「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」の準備のためのようです。

(2025年10月12日)