ヨーロッパ29か国で、出入域システム(EES)の導入作業が始まりました

 EU(欧州連合)は、短期滞在者の入国・出国を管理する出入域システム(EES、Entry/Exit System)の導入を2025年10月12日から始めました。
 対象となるのはEU25か国にEFTA(欧州自由貿易連合)4か国を加えた29か国のシェンゲン圏です。英国、アイルランド、キプロスは含まれません。
 導入が完了した空港などでは、入国審査(イミグレーション)の前に端末(キオスク端末、pre-border kiosk)で、初回時にパスポート情報、生体情報(顔写真、指紋)、入国日時などを登録します。2回目以降の入出国では、登録済みデータと自動照合して入出国記録が自動的に蓄積されます。
 シェンゲン圏では、連続した180日の期間のうち、合計90日までが短期滞在として認められています。91日以上になると不法滞在とみなされます。これまで、パスポートのスタンプで滞在日数を確認していましたが、今後はEESによって自動的に計算・管理されます。
 キオスク端末の設置などEESの導入は主要空港などから順次進められ、2026年4月10日までに全域で完了させる計画です。その後、短期滞在者のパスポートへのスタンプ押印は廃止されるということです。

EES導入国(29か国)

🇫🇷 フランス 🇩🇪 ドイツ 🇮🇹 イタリア
🇪🇸 スペイン 🇳🇱 オランダ 🇧🇪 ベルギー
🇦🇹 オーストリア 🇸🇪 スウェーデン 🇫🇮 フィンランド
🇩🇰 デンマーク 🇵🇹 ポルトガル 🇬🇷 ギリシャ
🇨🇭 スイス 🇳🇴 ノルウェー 🇮🇸 アイスランド
🇨🇿 チェコ 🇭🇺 ハンガリー 🇵🇱 ポーランド
🇸🇰 スロバキア 🇸🇮 スロベニア 🇱🇺 ルクセンブルク
🇪🇪 エストニア 🇱🇻 ラトビア 🇱🇹 リトアニア
🇭🇷 クロアチア 🇲🇹 マルタ
🇱🇮 リヒテンシュタイン 🇧🇬 ブルガリア🇷🇴 ルーマニア

 EUではEES導入に続き、ETIAS(欧州渡航情報認証制度)の運用が予定されています。出発前にオンラインやアプリで渡航申請する仕組みで、アメリカのESTA(電子渡航認証システム)に類似する制度です。ETIASは2026年末までに運用を開始する計画です。

(2025年10月19日)