アメリカの航空会社、ユナイテッド航空(United Airlines)は、機内で映像を視聴したり音楽を再生する場合、ヘッドフォンを使用することを求めるルールを明確化しました。2026年2月に旅客運送約款(Contract of Carriage)を改定しました。乗客がこのルールに従わない場合、搭乗を拒否されたり、機内から降ろされたりする可能性があります。
旅客運送約款にヘッドフォン利用の規定を追加
ユナイテッド航空に限らず航空機内ではスマートフォンやタブレット端末で動画を視聴する乗客が増えており、音声が周囲の乗客の迷惑になる可能性があります。これまでも多くの航空会社はマナーとしてヘッドフォンの着用を乗客に求めてきましたが、ユナイテッド航空では約款の改定によってルール化し、会社としての方針を明確にしました。航空会社の多くは機内で音声を再生する際にはヘッドフォンの利用を求めており、今回のユナイテッド航空の対応は、こうした一般的な機内マナーを約款で明確化したものといえます。同社の旅客運送約款では、規則に従わない乗客について輸送を拒否できると定められています。
背景にスターリンク導入による機内インターネット高速化
ユナイテッド航空は乗客の利便性向上のため、機内のインターネット環境改善としてスペースX社のスターリンク(Starlink)を導入し、Wi-Fi環境の整備を航空機ごとに進めています。機内インターネットの高速化によって動画視聴などの利用がさらに増えると、周囲の乗客への迷惑となるケースが増えることも想定されています。例えば、ユナイテッド航空がインターネット環境を整備しているのだから、周囲に聞こえる形で動画などを再生しても問題ないと主張する乗客が現れることも考えられます。今回のルール整備には、こうした環境の変化を背景に、このような行為を事前に禁止して機内全体の居住性を維持する狙いがあるようです。
JAL、ANAは周りのお客様へ配慮するマナーとして案内
JALでは、ウェブサイト上にヘッドフォン利用の注意などの案内はありませんでしたが、機内エンターテインメントの利用ガイドなどで、オーディオジャックの場所を説明しており、イヤホン利用が前提となっていました。
また、ANAでは「電子機器の使用制限に関するご注意」の中で「携帯電話(スマートフォン含む)、電子ゲーム、DVDプレーヤーなどをご使用の際は、周りのお客様へのご配慮をお願いいたします。」としています。
ユナイテッド航空のように規約で禁止していませんが、イヤホン・ヘッドフォン利用が前提でマナーとして周りに迷惑をかけないようにという考え方でした。
鉄道でもイヤホン着用を明確化する動き
公共交通機関の静寂性を求める動きというのは航空便だけでなく、鉄道などでも広がっています。昨年2025年9月には台湾で、台北と高雄を結ぶ台灣高速鐵路(台湾高速鉄道、Taiwan High Speed Rail=THSR)で、やはり動画、音楽再生時にイヤホンをつけることや、大声でのお喋りを控えるよう乗客に求め、規約の改正で係員に従わない場合は途中駅で降ろされることを明文化していました。(ただし、赤ちゃんや小さい子供の泣き声はこの規定には含まれないという追加の案内も出されていました。鉄道会社の苦悩がうかがわれます)



(2026年3月7日)